世界第3位のワイン生産量を誇るスペインは、ブドウの生産面積が世界一、スペインのほぼ全土でブドウが栽培され、各地で美味しいワインが生産されています。
ヨーロッパにありながら、歴史的にはイスラム文化の影響も受けてきたスペインのワインは、独特の味わいを持つ銘柄も多数。
本記事では、さまざまな味わいが楽しめるスペインワインの代表的な産地や独自の製法を詳しく解説します。
この記事を読むことで、スペインのワインも飲んでみたくなることでしょう。
スペインのワインの特徴
スペインは、豊かな土壌に恵まれており、世界一のブドウ栽培量を誇るブドウの産地です。
南はアフリカに近く、北東部はフランスと接しているという地勢から、各地によって気候が異なります。
湿度が高く涼しい北部では白ワインが多く、年間を通して暖かく乾燥している南部では、力強い赤ワインの生産がさかんです。
スペインで栽培されるブドウの主要品種は、テンプラニーリョ、ガルナッチャ、アルバリーニョなどがあり、とくにテンプラニーリョは、スペインを代表するブドウ品種です。
代表的なワイン生産地であるリオハや、スペイン王室御用達のワインを生産するリベラ・デル・デュエロでは、現在も伝統的なオーク樽での熟成を守り続けています。
レゼルバやグラン・レゼルバの表記のある高級ワインはこの製法で作られることが多く、複雑で奥の深い独特の味わいを特徴としています。
スペインのワインの主な産地

スペインが誇る高級ワインや独特の味わいを持つワインは、スペインのどのあたりで生産されているのでしょうか。
ここではワインの主要産地とそれぞれの特徴について解説します。
リオハ
スペインで2番目の大河エブロ川の上流に位置するリオハは、フランス国境に近いスペイン北部のエリアです。
大西洋気候と地中海気候が交じり合う独特の条件下でブドウが栽培されます。
リオハはスペインを代表する高級赤ワインの産地であり、中でもテンプラニーリョ種が多く、樽でじっくりと長期熟成させる醸造方法を守っています。
奥の深い熟成感や複雑な味わいが、リオハのワインの特色です。
リベラ・デル・デュエロ
リベラ・デル・デュエロは、スペイン北部のドゥエロ川と支流周辺に広がるカスティーリャ・イ・レオン地域にあります。
夏と冬の寒暖差が激しい乾燥したエリアで、コクのある重厚なワインが生産されている、リオハと並ぶ高級ワインの産地です。
また、地元ではティント・フィノと呼ばれるテンプラニーリョ種が主流で、王室御用達のベガ・シシリアがあることでも有名です。
プリオラート
プリオラートはスペイン北東部カタルーニャ地方にあり、ワイン作りの古い歴史を持っていることが特徴です。
ブドウの栽培に適した温暖な気候に恵まれており、険しい斜面に広がるブドウ畑では、手作業での収穫が今も行われています。
プリオラートの主要なブドウは、ガルナッチャ種とカリニェナ種で、ミネラル感たっぷりの、モダンで高品質なワインが数多く生産されています。
スペインのワインの製法

古代ローマ時代からワインの製造を行っていたスペインは、洗練された製造技術を持っており、世界でも知名度の高いワインを数多く生産しています。
伝統的な製造方法を守る銘柄もあれば、最新の技術を導入するワイナリーもあるなど、製法はさまざまです。
ここでは一般的なスペインワインの製法について解説します。
収穫
スペインワインの主要ブドウ品種であるテンプラニーリョは成熟が早く、9月中旬ごろから収穫が始まります。
ブドウの収穫時期は品種や地域によって異なりますが、スペインでは通常、9月から10月に行われています。
品質重視の生産者は手摘みにこだわり手間をかけることもありますが、広大なブドウ畑を持つ生産者が多いため、機械を使って収穫することが多いです。
圧搾と発酵
圧搾と発酵の過程では、赤ワインと白ワインで違いがあります。
赤ワインの場合、ブドウは除梗・破砕したあと、皮や種と一緒にタンクで発酵します。
一方白ワインは、除梗と破砕のあとに果汁を分離して、クリアな果汁だけを発酵させる手順を踏むのが一般的です。
また、発酵中は果汁の温度が高くなるため、丁寧な温度管理が必須です。
温度制御されたタンクで行われるほか、地域によっては伝統的なオープンタンクや木樽を用いることもあります。
熟成
スペインの高級ワインを生産するリオハやリベラ・デル・デュエロでは、オーク樽で熟成させるのが一般的です。
熟成期間はさまざまですが、テンプラニーリョ種は熟成タイプ向きの品種であり、長期熟成によって、豊かな味わいが培われます。
スペインには樽熟成の期間によるカテゴリーが存在しており、詳細は以下の通りです。
| 表記名 | 樽熟成の期間 |
| クリアンサ | 樽熟成6ヵ月以上 |
| レゼルバ | 樽熟成12か月以上 |
| グラン・レゼルバ | 樽熟成18か月以上 |
ボトリングと追加の熟成
数か月から2年ほど熟成したワインは、清澄化の工程を経てボトルに詰められます。
ボトリングのあと、銘柄によってはさらに数か月から数年、追加の熟成を行うケースもあります。
スペインはアンダルシア地方をはじめ、シェリー酒の生産で有名です。
シェリー酒には「ソレラシステム」という熟成度の高い樽を底にして古い順に樽を積み上げ、底の樽から上の樽へワインを補充するという独自の熟成方法が用いられます。
この工程によって熟成度を均一化し、深みのある味を引き出します。
スペインのワインはワイン法規制(D.O.)で守られている
スペインのワインは、「D.O.(デノミナシオン・デ・オリヘン)」と呼ばれる制度によって守られています。
「原産地呼称」と訳される「D.O.」は、非常に厳しい基準に基づいたスペインの高級ワインのカテゴリーを指します。
D.O.のワインの中でもさらに厳しい基準をもとに昇格が認められたワインが「DOCa(特選原産地呼称)」です。
DOCaと認められているのは現在、リオハとプリオラートと2つのみです。
まとめ:スペインのワインはオーク樽で熟成された味わいがポイント
全土で個性的なワインが生産されているスペインは、リオハやリベラ・デル・デュエロなどをはじめとし、世界でも有数の高級ワインの産地として知られています。
手間をかけて手摘みをしたブドウを経験によって培われた技術で処理し、伝統的なオーク樽で熟成するのがスペインワインの特徴です。
長期熟成されたワインのおいしさは、高く評価されていますよ。
スペインの風土が醸し出すおいしさに、ぜひ触れてみてください。
参考文献
木村克己著『ワインの大事典』2015年、成美堂出版
小学館ランダム英和大事典「solera system」
キリンビール株式会社「ワインアカデミー・スペイン」
https://www.kirin.co.jp/alcohol/wine/wine_academy/knowledge/region/spain.html
ICEX Spain Trade & Investment Gastronomy Department「数字で見るワイン産業(2020年版)」http://www.jp.winesfromspain.com/images/news/news210610.pdf