日本とワインの歴史は、実は世界的にみるとまだ始まったばかりであることをご存じでしょうか。
しかし短期間で日本のワインづくりは急速に発展を遂げており、現代では世界的にみても魅力的なワイン産地の1つになっています。
それでは、日本におけるワインの歴史はどのようにして始まり、現在にいたったのでしょうか。この記事では、日本ワインの歴史の始まりや変化、近年の動向などを紹介します。
古代日本におけるワインの歴史
ここでは、古代日本におけるワインの歴史を以下の2点に整理して紹介します。
- 古事記と日本書紀にワインの記述がある
- 古代からワインは作られていた
古事記と日本書紀にワインの記述がある
日本におけるワインの始まりに関する記述は、古事記と日本書紀にあります。
正確には、ワインの原料であるブドウに関する記述が、古事記や日本書紀にあります。
ブドウに関する記述があるのは、イザナミとイザナギの「黄泉(よみ)」の部分です。
死んでしまったイザナミに会いに黄泉の国へ行ったイザナギは、イザナミの変わり果てた姿を見てしまいます。
イザナミは姿を見られたことに怒り、逃げるイザナギに追手「黄泉醜女(よもつしこめ)」を差し向けました。
そして追手から逃げるイザナギが自らの髪に飾っていたツルを投げつけたところ、これが葡萄(ブドウ)になったと記述されています。
(※解釈には諸説あり)
古事記は712年で日本書紀は720年に完成していることから、少なくとも8世紀の初頭にはすでに国内でブドウの存在が認知されていたことになります。
古代からワインは作られていた
世界に目を向けると、ワインづくりは古代より行われていたといわれています。
ワインの原料であるブドウは人類誕生以前から存在しており、紀元前6000年ごろには既にワインが作られていたとのことです。
紀元前5000年〜4000年頃の出来事が記されている「ギルガメッシュ叙事詩」には、古代バビロニアの王・ギルガメッシュが船大工たちにワインをふるまったと記述されています。
その後ローマ帝国の領土拡大やキリスト教の布教に合わせて、ワインづくりも欧州に広がっていきました。
そして16世紀に大航海時代を迎えると、ワインづくりは欧州から日本を含む世界中へと広まることになります。
現代の日本ワインの変遷と成長

ここでは、現代の日本におけるワインづくりの変遷と成長について以下の2項目に整理して紹介します。
- 140年前の日本ワイン醸造の始まり
- 近年の急成長と国際的評価
140年前の日本ワイン醸造の始まり
日本で本格的なワイン醸造が始まったのは、現在から約140年前のことです。
山梨県にて、1877年に日本初の民間ワイン醸造場「大日本山梨葡萄酒会社」が政府主導で設立されました。
そして本場のワインづくりを学ぶためにフランスへ渡った2人の留学生が、帰国後の1879年に初の本格的な国産ワインを完成させます。
当初ワインは日本人の口に合わないとされあまり人気を得られませんでしたが、1907年に甘味ワインが生み出されて大ヒットしました。
1940年代には、政府によってワインづくりが奨励されます。
しかしワイナリーが統合によって減少したことや増産の反動を受けて、戦後のワイン産業は低迷期に入ってしまいました。
近年の急成長と国際的評価
高度経済成長期やバブル経済を受けて、ワイン産業は急成長を始めます。
1970年代の高度経済成長期にはテーブルワインが大衆化していき、1980年代後半のバブル経済期には富裕層の人気を獲得していきました。
さらに1990年代後半には空前の赤ワインブームが到来し、2000年代以降は高品質なワインが国内で生み出されるようになっていきます。
ワインづくりが始まって以来、国際的には「日本産ワインはおいしくない」との評価を受けていました。
しかし2000年代以降に日本ワインの品質が急速に高まったことを受けて、国際的な評価も高まっていきます。
近年では、国際的なコンクールで日本ワインが受賞する機会も増えてきました。
近代日本におけるワイン
ここでは、近代日本におけるワインについて、以下の2項目に整理して紹介します。
- 日本ワインの国内外での需要の拡大
- 持続可能なワイン産業の発展
日本ワインの国内外での需要の拡大
「日本産のワインはおいしい」との国際的な評価を受けるようになり、日本ワインの国内外での需要は拡大していきます。
国税庁の調査によると、日本ワインのワイナリー数は2016年の280場から2023年の468場へと、7年間で1.5倍以上に増加しました。
(出典:国税庁「国内製造ワインの概況 平成27年調査分」・国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和5年アンケート)」)
また、ワインの輸出額の近年における推移は、以下の通りです。
| 年 | 輸出金額 |
| 2020年 | 3億4,800万円 |
| 2021年 | 6億8,700万円 |
| 2022年 | 6億8,600万円 |
| 2023年 | 5億6,700万円 |
出典:国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について 2021年」・国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について 2023年」
近年はやや停滞していますが、過去数年で見ただけでも大きく金額を伸ばしていることが分かるでしょう。
持続可能なワイン産業の発展
近年のSDGsに対する注目の高まりを受けて、ワイン産業においても持続可能性が無視できなくなっています。
持続可能なワインづくりとしては、以下のようなものが考えられるでしょう。
- 化学肥料や農薬の不使用
- 太陽光発電の活用
- 水の再利用
- ブドウ畑の生態系の保持
- 地元の労働力の活用
ワイン産業の工程を根本から見直し、持続可能な産業にしていく転換期が来ていると言えます。
まとめ:日本ワインの歴史は、これからますます発展が期待できる

日本における本格的なワインづくりは、明治時代に始まりました。
多くの人々がかけた時間や労力によって、現在では世界的にみても大変おいしく魅力的な国産ワインを生み出す産業となっています。
国内外での需要もどんどん高まっており、ワイン業界は産業としての可能性にあふれているといえるかもしれません。
日本におけるワインの歴史はまだまだ始まったばかりです。
今後は持続可能性についても十分に見直しつつ、さらなる発展を遂げていくと期待しましょう。
参考文献
https://www.winery.or.jp/basic/knowledge/
https://jwine.net/knowledge/history/
https://nihonwine.jp/enjoy-nihon-wine/the-definitive-edition-of-japanese-wine-history/
https://kojiki.co/genbun/episode05.html
https://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/plant/bungakusakuhin/kojiki.htm
https://namegata.mypl.net/article/history_namegata/83802
https://www.kirin.co.jp/alcohol/wine/wine_academy/knowledge/region/history.html
https://www.gourmet-world.co.jp/wine/basic/basic2.html
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story086/
https://www.winereport.jp/archive/3514/
https://winenation.jp/blogs/article/21637